五年越しの、君にキス。


お皿を持った手が小刻みに震え始めて、もう片方の手でなんとかそれを支える。

四ノ宮グループは私もよく名前を知っている旧財閥だ。確か、ベリーヒルズビレッジを所有しているのもその四ノ宮グループだったはず。

私と再会した日に伊祥がお見合いを断った相手がまさか……


「美藤ホールディングスはここのビルにいくつもグループ会社が入ってるのに、大丈夫なの?」

「さぁ、どうなのかしら。今、美藤ホールディングスがテナントの屋上日本庭園に新規カフェオープン事業を進めてるでしょ?あの話が美藤ホールディングスにきたのだって、本当は伊祥さんと四ノ宮のお嬢さんとのお見合いが決まりかけていたからみたいなのよね」

聞こえてくる話の途方もなさに、だんだんと視界がくらくらしてきた。

何も知らずに、うきうきと高級レストランの料理を堪能していた自分の呑気さが嫌になる。

< 98 / 125 >

この作品をシェア

pagetop