ワンルーム・ビターキス
「おい、翠」


「…何、兄さん」


「お前本気で言ってんのか?今からでも浪人して医大行けよ」



「俺は本気だよ。見りゃわかんだろ」





父さんと話してからというものの、俺は本当に教育学部を受けた。


そして受かった。



もう、医者になるという選択肢なんか俺の中にはないんだ。





実家を出るべく荷物をまとめていた俺の元に現れた兄さん。


病院の近くで一人暮らしをしながら大学に通ってるくせに、わざわざ戻ってきてまで言う言葉がそれか。

なんて、正直失望した。





「どこまでも馬鹿だよな、お前って」


「悪かったな。兄貴たちとは頭の出来が違うんだよ」





俺はお前らと違って完璧じゃない。


性格だってひねくれてるし父さんにも好かれてない。


もうこんな家、どうでもよかった。






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