あなたの左手、 私の右手。
私が目を覚ますと、家のリビングにあるソファで私は布団をかけて眠っていた。
私の部屋に入らないのは先輩なりの気遣いなのだろう。

体を起こした瞬間、自分の額から濡れたタオルが落ちたのが見えた。

落ちたタオルを拾いあげながら、あたたかな気持ちになる。

「どうや?体調。」
聞きなれた関西弁が聞こえてきて、声の方を見るとそこには当たり前のように先輩がいる。

自分の家に先輩がいるって不思議な感覚だ。
でも決して嫌ではない。むしろなんだか新鮮でうれしい。

「だいぶ楽です。」
「点滴の効果出て来たんかな?おかゆ作ったけど食べるか?」
「・・・うーん。」
「ちょっとでもええから食べ?」
そう言って先輩は台所の方へ向かい、すぐにおかゆを運んできてくれた。
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