あなたの左手、 私の右手。
「俺のおかゆは関西風やから口に合わなかったらごめんやで。」
そう言いながらソファで体を起こしている私から落ちた毛布を拾い上げて、もう一度膝にかけてくれた。
「熱いで?」
「・・・おいしそう。かまぼこなんてありました?」
「あー、病院からの帰りぐっすり眠っとったから、途中スーパーで買い物したんや。イオン水とか、ほかにもあっためるだけで食べられそうなもんとか、ゼリーとかヨーグルトとかプリンとか、一通り買っといた。」
「すみません。いくらでした?」
私の質問に、先輩は私の頭を優しく小突く。
「あほ。ええから早く食べ?」
「・・・いただきます。」
体調がよくなったら先輩に何か返そうと思いながら、私は先輩から渡されたおかゆをレンゲで少しすくった。
「熱いから気をつけ?」
「はい。」
ふーふーと冷まそうとしたら咳込んでしまって、ぎゅっと胸が痛む。
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