あなたの左手、 私の右手。
その間、先輩はフリーズしたままになっている。

私の言葉の意味を必死に考えているのだろう。
こんな先輩の表情は初めて見る。

「お前、不意打ちはやめろ。」
そう言って先輩は私の口にかなり大きくレンゲにいれたおかゆを入れた。

「あつっ!!」
熱さに悶える私に、「ごめん」と焦りながらあたふたする先輩の表情もはじめてだ。


私たちは、私たちのこれからの話はしなかった。

2人の関係に名前を付けることもしなかった。

でも・・・
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