子作り契約結婚なのに、エリート社長から夜ごと愛し尽くされました
「あのさあ、紬。私のマンションなんてどう?」

「えっ?」

予想もしていなかった言葉に、何度か瞬きをした。

「今ね、彼氏に同棲しないかって言われてるの。もちろん、そうしたいんだけど……完全にそっちへ行ってしまうのは、やっぱり不安でさあ……かといって、両方維持するには金銭的にもキツくなるし」

瞳を揺らす彼女に、その過去を思い出していた。
学生の頃、付き合って2年近くの彼氏の提案で、綾達カップルは同棲することにしたんだった。けれど、一緒に住み始めてすぐ、彼氏の浮気が発覚したのだ。

元々住んでいたところは解約していて、どうしようもなくなった綾は、しばらく私のところに身を寄せていたことがある。

「そうだね」

今の彼は、あの時の人とは違うって、綾だってもちろんわかっているはず。けれど、やっぱり一度味わった苦しみは、簡単には消えてくれないんだと思う。

「今私が住んでいるところに紬が入ってくれたら、万が一の時、私も助かるんだよね。都合のいいこと言って、申し訳ないんだけど……」


< 164 / 250 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop