子作り契約結婚なのに、エリート社長から夜ごと愛し尽くされました
「ふう……」

やっと落ち着いたのは、随分時間が経ってからだった。
水道で口をゆすぐと、外には心配そうな顔をした柊也さんが立っていた。

「大丈夫か?」

近付いてくる柊也さんに、思わず手を突き出して、後退りしながら避けてしまった。

「え?」

驚いた柊也さんは、その場で足を止めた。

「紬?どうした?」

「来ないで」

「え?」

再びふんわり香ったにおいに、顔をしかめる。
柊也さんは、わけがわからないのだろう。困惑しているのがわかる。

「柊也さんについた、香水のにおいがダメなの」

思い出しただけでも、再び吐き気が込み上げてきそうになって、慌てて口元を押さえた。

「香水なんて、つけてないけど……ごめん。とりあえず風呂入って着替えてくる」

怪訝な顔をしつつも、実際に私がこういう状態になっているせいか、柊也さんはそれ以上、何も言わずに引いてくれた。




「潮時かなあ……」

ボソリと呟いた言葉は、妙に私を納得させた。





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