子作り契約結婚なのに、エリート社長から夜ごと愛し尽くされました
「すげえなあ……わかっているつもりだったけど……本当にここにちび助が生きているんだなあ」

今更、なにをしみじみと言っているのか……

違う。男の人は、そういうものなのかもしれない。
変化があるのは、女性の方だけ。いくらお腹が出てくるのを目の当たりにしていても、なかなか実感が湧かないのかもしれない。
彼は今、初めて胎動を感じて、赤ちゃんの存在をリアルに感じたのだろう。

「そうだよ」

私のお腹に添えられた彼の手が、なんだか〝愛おしい〟と言ってるようで、心が温かくなってくる。幸せだなあ……なんて、凝りもせず思ってしまう。


「……こんなの、手放せねぇ」

「え?」

柊也さんの呟きがあまり生小さくて、聞き返していた。
彼は俯いていた顔をそっと上げると、正面から私の目を見つめて、きっぱりと告げた。

「俺は、紬とちび助を手放すなんて……絶対にできない」

突然のことに理解が追いつかず、動きを止めた。

今、なんて言った?



「な、なんで……だ、だって……えっ?……しゅ、柊也さんは……」

「俺が、なに?」

「さ、最初から別れる前提だったし……そ、それに、そもそも柊也さんには……本命の女性がいるでしょう?」

「は?」

苦しさを堪えて必死に話した私に、「は?」の一言はあんまりじゃないかと、思わずジロリと睨むように見た。

けれど、本当に訳がわからないと言っているような彼の表情に、こちらも困惑してしまう。




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