子作り契約結婚なのに、エリート社長から夜ごと愛し尽くされました
「紬。これは破棄するぞ」

夕食後、ゆっくりしていたところに、ちょっと不機嫌な顔をした柊也さんが、何か紙をヒラヒラさせながら近付いてきた。

「なに?それ」

ずいっと近付けられた用紙に目をやる。

「あっ……」

背中に嫌な汗が伝ったのは、その用紙のせいだけじゃない。彼の怒った目にだ。

「ご、ごめんなさい。すぐ捨てます」

慌てる私を尻目に、柊也さんは見せつけるようにビリビリと破り出した。

「いつ書いたんだよ、これ」

「えっと……伯母のマンションに泊まった時だけど……」

ふんと鼻を鳴らす俺様が、怖すぎるんだけど……

「紬は、俺と離婚する気だったんだ」

「いや、えっと……だ、だって、それは….」

うっ……視線が痛すぎる。

「しゅ、柊也さんに本命の人ができたんなら、自由にさせてあげないとって思って……」

あの時は、本気でそう思って準備を進めていたわけで……すっかりその存在を忘れていただけなんです……

「まあ、俺にも落ち度があったから、仕方ないか」

よ、よかった。もう怒ってない……よね?
ずいっと顔を近付けられて、思わず「ひぃ」なんて変な声が漏れる。


< 208 / 250 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop