子作り契約結婚なのに、エリート社長から夜ごと愛し尽くされました
「俺、隣の席で友人と飲んでたの」

ハッとして橘さんの指す左隣に目を向けた。ちょうどついたてがあって隠れてたから、隣にどんな人が座っているかなんて全く気にしていなかった。

「ちなみに、俺の方が先にいたんだよね」

ただ楽しくて仕方がないって感じの橘さんを、呆然と見つめた。

よりによって、仕事相手にこんな話を聞かれるなんて最悪だ。次からどんな顔をして会えばいいというのだろう。
しかも、私が担当する事を条件に契約してもらえたのだから、誰かに代わってもらうこともできない。

「き、聞かなかったことにしてもら……」

「無理」

食い気味に返されてしまう。

「他を当たるので、おかまいなく……」

「やだ」

やだってなんだ、やだって。
やっぱりこの人、かなり酔ってる?

「ちなみに俺、意識ははっきりしてるから。酒で記憶を無くしたりってことも、一度もないぞ」

うっ……私の思考は読まれているようだ。

「で、でも、仕事関係の方とする話じゃないし」

「けど、困ってるんだろ?相手探しに」

「そうですけど……」

だからって、橘さんにお願いするわけにはいかない。やっぱりこういうのは、ある程度距離のある人じゃないと……



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