Romantic Mistake!

北海道旅行を潰されたのだから私には聞く権利があるんじゃないか、とふと思い、素直に「パーティーってなんです?」と尋ねる。桜庭さんは肩を落として答えてくれた。

「あと一時間後、このテナントの屋上の庭園で僕と桃香さんの婚約披露パーティーが開催されます。役員や取引先の重役も呼んである盛大なパーティーです」

ええ? それを桃香さんが欠席するなんて許されないはずだ。役員や取引先も呼ぶなら絶対に失敗できない。私が主催者だったら、婚約者がパーティーに出ないと言い出したら泡を吹いて倒れているところだ。

「今朝、桃香さんがパーティーに出る気分ではなくなってしまい、好きな小説の未公開原稿を読ませてくれなければ出席しないと言い出して。偶然、その作家は顧客だったので事情を話すと、流失を防ぐためにデータではなく紙なら、と快諾してくれ、僕が北海道まで取りに行ったのです」

そ、それも甘すぎると思うけど。

「……で、でも。じゃあ、いいじゃないですか桃香さん。手に入ったんだから。パーティーに出る約束なんですよね?」

今のところ彼女のお願いは叶っているんだから、桜庭さんの言い分が正しい。私もそう思って口添えをすると、彼女は私を睨んだ。

「でも今すぐ読みたくなってしまったんですもの」

ハァ?と口角がひきつった。
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