アオハルの続きは、大人のキスから
「いらっしゃいませ……」
そこに立っていたのは、昨夜ベリーコンチネンタルホテルで久遠にしなだれかかっていた女性だった。
常連客の噂話を聞く限り、女社長として起業していて父親は大手銀行の頭取だとか。
一瞬そのことが脳裏に過ったが、小鈴はにこやかに彼女へ近づく。
「なにかお探しの物がございますか?」
「ええ」
なんだろうとほほ笑みかけると、その女性は高飛車な態度で顎を上げた。先ほどまでの上品なイメージとはガラリと代わり、高圧的な態度に小鈴は目を丸くする。
「貴女を探していたの」
「私、ですか?」
「ええ。仲濱小鈴さん、よね? 今度、ベリーコンチネンタルの模擬結婚式で白無垢を着て花嫁役するんでしょう?」
「え……?」
どうして彼女がそのことを知っているのだろう。
模擬結婚式のパンフレットなどは、すでにマスコミ関係者などには送付済みだと聞いている。だから、模擬結婚式のことを聞かれたのなら納得がいく。
しかし、プレスリリース向けに作られたパンフレットも、一般向けのパンフレットにも写真は載っているが、名前までは掲載されていない。
それも、そのパンフレットの写真は後ろ姿のみで小鈴の顔は載っていないはず。
訝しがる小鈴に、彼女は鼻で笑った。
「パンフに貴女の顔写真が載っていなくて良かったわ」
「え?」
「貴女、花嫁役をおりなさい」
威圧的な態度で小鈴に迫り寄り、鋭い目で睨みつけてくる。