アオハルの続きは、大人のキスから


「模擬結婚式での花婿役は、GMである蘭さんがするのよ。ご存じ?」

「……知っています」

「知っているのなら、話が早いわ。貴女は辞退なさい。蘭さんの隣には、私が適任よ? 私の家は蘭さんの家とも釣り合うし。誰から見てもわかるでしょう? 貴女じゃあ……ねぇ?」

 クスクスと笑い小鈴を嘲笑う彼女。キュッと手を握りしめて耐えるのだが、さらに彼女は続けてくる。

「私は貴女と違ってステータスはあるし、なにより見た目だって……うふふ」

「……」

「花嫁役は私にこそふさわしいの。だって、私は蘭さんの将来の妻になる予定だから」

「妻……ですか?」

「ええ。周りが早く結婚しろと言ってうるさいのよ。だから、模擬とはいえ形だけでも式をしてしまいたいの。だから、貴女には遠慮しなさいと言っているの」

 なにも言わない小鈴の横を通り抜け、店の中をグルリと見回す。そして、次から次に指を指していく。

「あれと、それと……これも。そうねぇ、そちらの反物もくださる?」

「……畏まりました」

 店員として客に対して誠実でいなくてはいけない。小鈴は彼女が指定してきた品物を小上がりの畳の上に置く。

「それ、全部いただくわ」

「え?」

 ろくに商品を見ていないし、反物に至っては自分に当てて鏡で見てもいない。それなのに全部これらを購入するというのか。
< 104 / 120 >

この作品をシェア

pagetop