アオハルの続きは、大人のキスから


「まずは、このような品物いただけません。お納めください」

 カードを突っ返した小鈴に、彼女は目くじらを立てる。

「失礼じゃない、貴女!」

 激高する彼女に、小鈴は冷静な態度で言い募る。

「失礼なのは、貴女さまの方です」

「はぁ?」

「一方的に模擬結婚式の花嫁役を辞退しろと言われましたが、それは蘭さんも納得の上でしょうか?」

「っ」

「今回の模擬結婚式は、ベリーコンチネンタルホテルにとって大きなビジネスチャンスとなります。このプロジェクトに力を注いでいるスタッフは、たくさんいます。その方たちの努力を台無しにするようなことは私には無理です。私は、花嫁役はやらせていただくつもりです。どうぞ、お引き取りください」

 キッパリと言い切る小鈴に目をつり上げた彼女に、「さらに、もう一つ」と続ける。

「あの白無垢は、最高級なものです。正絹の上品な布地。鶴の柄は相良織りで職人の腕が光っていました。あれほどの白無垢をけなす貴女には、あのお着物を着こなせるとは到底思えません。いいえ、着てほしくはございません。職人に対して、着物に対して、そしてあの着物をご準備された蘭さんに対して侮辱しているのも同じこと。許されることではございません」

「……っ!」

「お引き取りを」
< 106 / 120 >

この作品をシェア

pagetop