アオハルの続きは、大人のキスから


「え? あのあと、山野井に来ていたんですか?」

「ああ。小鈴は熱を出して寝ていたんだろう? 部屋に上げてもらって様子だけ見させてもらったから」

 あのとき、夢の中で久遠と会った気がしていたのだが、まさか本当に久遠が小鈴の傍にいただなんて。

 驚きはそれだけではない。あの日、久遠は山野井にやってきて、叔父に結婚の許しを得ようと必死になってお願いしてくれたというのだ。

 その日は平行線で終わったらしいのだが、そのあとも何度も何度も山野井に足を運び、ついには証人の欄を書いてもらえるようになったらしい。

 叔父は今日、この場には行かないと断固拒否をしていたようだ。

「理由は、小鈴を見て泣いてしまうのがわかっているから。涙は本当の挙式に取っておくって言っていたぞ」

「叔父さん……」

 もう一度婚姻届にある叔父の筆跡を見る。指でその文字に触れながら、嬉し涙が込み上げた。

「ペンを貸していただけますか?」

 傍にいたスタッフにお願いをしてペンを借り、あとは小鈴のサインだけという状態の婚姻届に名前を書く。

 そして、婚姻届を久遠に見せた。


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