アオハルの続きは、大人のキスから

「蘭とは、模擬結婚式が終わったら会わない方がいい」

「え?」

「昔の恋が懐かしくなっているだけ。蘭に恋をしているという錯覚だ」

「そんなこと!……そんなことないです! 私、久遠さんのこと」

「小鈴」

 俊作は小鈴に最後まで言わせない。その代わり、冷静な様子で視線を送ってきた。

 激しく反論する小鈴を見て、俊作は首を横に振る。やるせなさを滲ませた彼の様子に、なぜだか嫌な予感がした。

「小鈴には無理だ。苦しむ未来が見えているのに、蘭の手を取らせるわけにはいかない」

 どういう意味なんだろうか。硬直していると、懐にしまっていたスマホが着信を知らせてくる。

 俊作が視線で出るようにと促してくるので、慌ててその電話に出た。相手は椿だ。

「もしもし……椿ちゃん?」

『あ、小鈴? もう仕事終わった? 今、モールの駐車場にいるのよ。マンションまで送ってあげるから降りておいで~』

 椿の声がバックヤードに響く。俊作も椿の声を聞いたのだろう。
 彼に視線を向けると、小さく頷く。椿と帰るように、そういうことのようだ。

 椿に「すぐに行く」と伝えたあと、俊作に頭を下げてバックヤードを飛び出した。

「嘘だよ……俊作さんが、まさか」
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