アオハルの続きは、大人のキスから


 時計を確認すると、もうすぐで十時になるところ。昼までに来てほしいと叔父が言っていたので、急いで支度をしなければ間に合わない。

 時間指定をしてくるところも、気になる。もしかしたら、本店の方にお得意様がやって来ることになったのか。

モール店に寄ってみたが、小鈴がいなかったために本店にやってきたとか……?

 それなら特に問題はないのだが、一体どんな用事があるというのか。

 あれこれ考えても、叔父が考えていることがわからない。電車に揺られること三十分。大学生まで住まわせてもらっていた、叔父の家が見えてきた。

 モール店に出店してからというものの、小鈴はなかなか本店に行かなくなってしまっている。久しぶりに味わう浅草の雰囲気に、緊張していた心が少しだけ和らぐ。

 今日、本店は営業中のはず。客がいたら申し訳ないので、こっそりと店の中へと入った。

 だが、ちょうど店には客は居らず、叔父が一人反物を巻いていた。その後ろ姿に声をかける。

「叔父さん、おはよう。どうしたの、突然連絡が来たからビックリしたよ」

「ああ、小鈴か。悪かったな、休みの日に」

「ううん。たまにはこちらにも顔出さなくちゃって思っていたのに、なかなか来ることができなかったから」

「モール店に出店が決まって小鈴があっちにかかりっきりになってから、ここを出て一人暮らしし始めたからな」

「うん。迷惑ばかりかけられないしね」

 いつも通りの会話ができてホッとしている小鈴に、叔父は渋い顔を見せてきた。



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