アオハルの続きは、大人のキスから
元々、家を継ぐ気がなかったからこそ、椿は自分で会社を興したのである。
今更山野井を継いでほしいとお願いしたとしても、ノーを叩きつけるはず。それは小鈴にも容易に想像ができた。
なにも言えない小鈴を見て、叔父は深くため息を零す。
「椿には無理だ。着物に興味がないヤツが、呉服屋を継げるわけがない」
「確かにそうかもだけど……。で、でも! 椿ちゃんは経営のノウハウはあるんだし。経営者としてなら」
小鈴が必死に叔父を説得しようとするのだが、彼は首を横に振り続ける。
「実子と言えど、呉服屋山野井に愛着がない人間に経営は任せられない」
強く言い切った叔父は、ゆっくりと視線を動かし小鈴を見つめる。その瞳には懇願の色が見え隠れしていて、なにも言い出せなくなってしまった。
「小鈴、頼む。お前になら、呉服屋山野井を任せられる」
「で、でも……考え直して、叔父さん」
「何度も考えた。考えた末のお願いだ」
「叔父さん」
「小鈴しかいないし、小鈴以外には呉服屋山野井を託したくはない」
「でも、私は山野井姓じゃないし。それに、椿ちゃんがいるのに」
「そこは問題にしなくていい。小鈴が本当のうちの子になればいいだけだ。養子縁組をして山野井になれば、なんの問題もないはずだ」
「そんなの無理……無理だよ、叔父さん」
考えを変えてもらおうと必死に説得しようとするのだが、反対に叔父に説得されてしまう。
「小鈴と俊作は仲がいいだろう? いい夫婦になれるはずだ」
「叔父さん!」