アオハルの続きは、大人のキスから


 本当は、久遠の傍にいたかった。十年間、彼のことを忘れられず、ずっとずっと想っていた。それは久遠も一緒だと聞いて、どれほど嬉しかったか。

 模擬結婚式の日までには、色々な覚悟を決めて気持ちを打ち明けようと思っていた。だが、それは儚い夢となってしまいそうだ。

 久遠は素敵な男性だ。それは昔も今も変わらない。いや、今はより大人の男性となり魅力的になっていた。

 そんな彼の隣に立つのは、きっと大変だ。だからこそ、小鈴は彼の近くにいるために色々と頑張らなくては。そんな想いでいた。

 ラグジュアリーホテルのGM尚且つ繋がりが強い親族は名家という立場の彼と、呉服屋の店員という、なんともアンバランスで釣り合いが取れない二人。

だけど、それは小鈴の頑張りがあれば、その差を埋められる。そう信じていた。先ほどまでは……

 キュッと手を握りしめ、泣いてしまうのをグッと堪えた。



< 90 / 120 >

この作品をシェア

pagetop