キス、涙々。
泣くことは悪いことじゃない。
それまで、泣いてばかりの自分が大嫌いだった。
だけどわたしの泣き顔が好きだと言ってくれる、
泣いてもいいんだよって言ってくれる、あなたがいるから。
わたしは泣き虫な自分を、認めてあげられるようになったんだよ。
「し、してくれないの……?」
「んー?」
「その、ちゃんと、キス…してくれないの?」
「っ、あーもう、可愛いなぁ……!」
最初に触れられたのは、涙にぬれたまぶた。
そっと頬に手を添えられて、焦らすようにまた涙にばかり。
「は、ハギくっ……ん、ぅ」
声をあげようとしたらその口を塞がれた。
ずっと待ち望んでいた、大好きな人からのキス。
角度を変えて、何度も何度も押し当てられる。
優しかったりすこし乱暴だったりと、キスはひとつひとつ変化する。
最後はかるく唇を合わせて、そっと離れていってから顔を見てふっと笑われた。
「やっぱヤオの泣き顔、すんごい興奮する」
「い、いま言う~!?やだ、もう帰る……」
「途中退出はなしでーす。まだまだ、これからだからね」
語尾に星でもつきそうな勢いで、ハギくんは嬉々としてわたしの身体を抱き寄せた。
「その顔、俺にしか見せちゃだめだよ」
ね?と妖しく光る瞳にはわたしの顔が、そして涙が映りこんでいる。
それが落ちるのを見ていたら、もう一度求めるようなキスをされた。
『キス、涙々。』end.


