箱崎桃にはヒミツがある
「モデルとしても全然まだまだだし。
 このままやっていけるのかもよくわからないし。

 日々、コツコツ自分が、これやったらいいかな~と思っていることをやるだけって言うか」

「……意外に地味な仕事なんだな」

 職人みたいだな、と貢が言う。

「そうですねー。
 普段、やってることは、とてつもなく地味ですね……」

 地味だし、忍耐が必要だ。

 ほんとうは自分のような怠け者には向いていない仕事だと思う。

 貢のパスタは遅れてきたが、貢は、すぐに食べ終わり、席を立った。

「ゆっくりしたかったんだろうに、邪魔したな」

 ああ、いえいえ、と桃は微笑んだ。

 ドリルを持っていない貢が側にいても、特に害はないからだ。
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