箱崎桃にはヒミツがある
「でも、気が済まないので」

「……じゃあ、そこで珈琲でも奢ってくれ」
と貢は近くにあったスタンド式のカフェを指差す。

 えー?
 安すぎますよ、と思ったのだが、貢が納得しそうにないので、結局、店の外で貢が本を買うのを待っていた。

「待たせたな」
と貢がやって来たとき、ちょっとドキリとしてしまう。

 ……やっぱ、格好いいな。

 こんな人が待たせたなって彼氏か旦那さんみたいにやってくるとか。

 この先、もうない気がするな、と思いながら、桃は貢とカフェに行き、貢は珈琲を、桃はスムージーを飲んでちょっと話した。




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