極上御曹司に初めてを捧ぐ~今夜も君を手放せない~
「ああ。ところで、専務から聞いてるぞ。お前、もうすぐ結婚するそうじゃないかって、ひょっとしてその子か?」
俺の膝枕で寝ている梨乃に目を向ける社長。
「いえ、違いますよ」
すぐに否定するも、彼は信じない。
「照れるな、照れるな。お前に恋人が十人いたって驚かないぞ。詳しい話は今度じっくり聞かせてくれよ。仲人は私がしよう。じゃあ」
社長はニコニコ顔で大きな爆弾を落として戸を閉める。
専務には結婚前提でお付き合いしている人がいると言っただけなのに、いつの間にか結婚することになっている。
専務のお喋りめ。口止めしておけばよかった。
軽く聞き流すと思っていたのにな。
数日後には社長からうちの両親に話が伝わってしまうだろう。
「ちょっと面倒なことになったな」
ハーッと軽く溜め息をついたら、滝川が眉間にシワを寄せながら俺を注意した。
「こら、藤原さんと付き合っておいて面倒とはなんだよ」
< 115 / 243 >

この作品をシェア

pagetop