極上御曹司に初めてを捧ぐ~今夜も君を手放せない~
「藤原?だが、彼女は親友の妹……!」
俺が反論しようとしたら滝川は穏やかな声で遮った。
「親友の妹とか部下とかどうでもいいじゃないか。大事なのはお前が自分の家に彼女を置いているという事実だよ。どうでもいい相手なら自分の家に連れて来ない」
「確かに」
これは俺の声ではなく、朝井の声。
彼は自称『恋の伝道師』の滝川の言葉に聞き入っている。
「お前、すっごい優しい目で藤原さん見てる。今だって膝枕してあげてるじゃないか。そんな風に女に優しいお前を見るのは初めてだよ。まあ、結婚の話は置いといて、本気で藤原さんと付き合えば?俺はお似合いだと思うよ」
いつになく真面目な目で俺を言いくるめようとしている滝川の言葉に苦笑いする。
「俺を焚きつけるなよ」
「へえ、いつもなら『くだらない』とか一笑するのに、『焚きつけるな』なんてもう彼女に気がある証拠じゃないか」
俺の揚げ足を取る彼。
「確かに」とまた朝井が相槌を打つ。
「そこふたりで結託するな」
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