極上御曹司に初めてを捧ぐ~今夜も君を手放せない~
思い切って自分の気持ちを打ち明けると、いきなり滝川さんの声が耳元で聞こえた。
「なるほど。それは今が幸せすぎて怖いってパターンだな」
「え?滝川さん?急に背後から現れないでくださいよ」
ギョッとして滝川さんに抗議したら、彼は真面目な顔で謝った。しかし、その目は笑っている。
「ごめん、ごめん。楽しそうな話……いや、真剣な話してるなって気になって」
「面白がってますね」
じっとりと滝川さんを見ると、彼は笑みを殺しながらあまり役に立たない助言を私にする。
「大事な部下の悩みを面白がる訳ないじゃないか。まあ、あれが本気になったらあたふたしたところで逃げられないから観念するんだね」
「でも……今は私が珍しくて口説いているだけで、そのうち飽きられるかもしれませんよ」
親友の妹だからちょっと特別に感じるだけなのかもしれない。
私もあんな美形が近くにいて動揺しているだけかもしれないし、両親の結婚を壊した自分は恋をすべきではない。
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