極上御曹司に初めてを捧ぐ~今夜も君を手放せない~
「藤原さんはネガティヴに考えすぎ。頭空っぽにしなさい」
滝川さんがクスッと笑って私の頭をツンと突くと、朝井くんも優しく微笑んで相槌を打った。
「そうそう。ちょっとおバカになるくらいが藤原さんはちょうどいいですよ」
本気にいい上司といい後輩だと思う。
でも、過去の呪縛もあってそう簡単に切り替えはできない。
「ふたりも息合ってますね。反論できなくなるじゃないですか」
笑顔を作ってこの話を終わらせる。
もう恋愛のことは考えたくなくて、ひたすら仕事に集中していた。
新商品のプロモーションを考えていたら、課長に肩をポンと叩かれた。
「藤原さん、また悪いんだけど、今度は招待状の発送を頼むよ。これも明日発送したいんだ。カタログの時よりは量は少ないから」
当然のように仕事を押し付ける課長。
ホント、優や滝川さんとは大違い。
今、近くに優も滝川さんもいない。きっと彼らのいないタイミングを狙っていたのだろう。
「これも栗田さんの仕事ですよね。課長からもっと彼女に注意した方がいいと思います。彼女のためになりませんよ」
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