極上御曹司に初めてを捧ぐ~今夜も君を手放せない~
いつもなら仕方なく引き受けるのだが、思い切って自分の意見を言ったら、佐藤課長の表情が険しくなった。
「部下の君に意見される覚えはない。いいから、しっかりやれ!」
罵倒されるように言われ、身体がビクッとした。
上司にこんな叱られ方をされたのは初めてだ。
「……はい」
ギュッと拳を握りしめ、小さく返事をする。
その後自分の仕事を終わらせ、招待状の発送作業に取り掛かる。
時刻は午後七時過ぎ、宛名シールを打ち出すところから始めたら、コピー機が紙詰まりを起こした。
詰まった紙を取り除いたりしていたら結構時間がかかって、もう八時近い。
「業者を呼ばなくて済んだだけでもラッキーかな」
ハーッと溜め息をつきながら、また隣のミーティングルームで作業をする。
今日も朝井くんは滝川さんと客先に行ってしまったし、助っ人は期待できない。
オフィスも数人いるだけで静かだ。
優も今日は社長に呼ばれて会食。
彼が帰宅する前には終わらせたい。
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