極上御曹司に初めてを捧ぐ~今夜も君を手放せない~
でないと、また残業のことを聞かれそう。
家に帰っても仕事のことは持ち込みたくない……って、私……もう彼のマンションが自分の家だって思ってる。
そのことに自分でも驚いた。
封筒に宛名貼りをしていくが、しばらくして誰もいなくなったのか、話し声も何も聞こえなくなった。
「今日もボッチで残業」
ポツリとそんなことを呟いたら、電気がパチッと消えた。
「え?停電?」
思わず声を上げ、椅子から立ち上がる。
手探りで窓の方へ行き、カーテンを開けると隣のビルは電気がついていた。
うちのビルだけ停電?
何かの工事で配線を切っちゃったとか?
原因を考えていたらカツン、カツンと靴音がそばで聞こえて、いきなり誰かに口を塞がれた。
「う……ううん」
もがいて抵抗するが、相手の力が強くてビクともしない。
手の大きさからすると男性だ。
カーテンも閉められ、視界は真っ黒。
一体何が起こってるの?
恐怖で顔からサーッと血の気が引いていく。
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