極上御曹司に初めてを捧ぐ~今夜も君を手放せない~
相手は私の口に猿ぐつわをして私のブラウスを脱がそうとする。
ブチッとボタンが飛んで、スマホで写真でも撮られたのかシャッター音がした。
このままでは犯される。
「いや!」と叫ぼうとしてもさるぐつわをされて声にならない。
声が出せないということは誰も助けに来ないということ。
自分でどうにかしないと。
無我夢中で抵抗したら、私の爪が顔に当たって相手が呻き、何かが床に転がる音がした。
「うっ!」
それは男の声。
相手の力が抜けたその隙をついて思い切り蹴り上げる。
ドンと当たる感触はしても、男は離れるどころか、私を押し倒して床に組み敷いた。
絶対絶命。
誰も助けに来ない。
私だけでは逃げることもできない。
このままこの男に犯されるしかないのか。
絶望が私を襲い、男が私の胸に手を這わせてきてゾクッとした。
いや〜!
心の中で叫んだその時、電気がまたついて男の正体がわかった。
佐藤……課長?
彼の頬には私がつけた引っ掻き傷があって血が出ていた。
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