極上御曹司に初めてを捧ぐ~今夜も君を手放せない~
兄の声で入り口に目をやると、店員さんがワゴンを運んできてパッと笑顔になる。
本当は全部と言いたいところだが、やはり北條さんの存在が気になる。
きっと全種類食べたら引かれるだろう。
「洋梨のタルトで」
グッと堪えて答える私を見て、兄はニヤニヤしながらボソッと呟いた。
「ひとつだけなんて珍しい」
そんな兄をギロッと睨みつけていたのだが、洋梨のタルトが私の前のテーブルに並べられて目を輝かせた。
昨日ケーキバイキングに行けなかったせいだろうか。
ケーキが神々しく見える。
「いただきます」
兄と北條さんを放置し、タルトをパクッと口にする。
ああ〜、美味しい。
洋梨の甘さと、タルトの生地のサクサク感が堪らない。
幸せに浸る私を北條さんが興味深げにじっと見ていたことにも気づかず、タルトを堪能する。
その後、兄がタクシーを呼んでくれて、店の前で兄と北條さんと別れた。
「梨乃、これ、お小遣い」
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