極上御曹司に初めてを捧ぐ~今夜も君を手放せない~
白いドイツ車の前で彼に言われたが、躊躇した。
「あの……私はひとりで帰れますから。それに家は西国分寺で遠いんです」
動揺していてそのままついて来てしまったけど、うちまで送ってもらうのは申し訳ない。
「そんな血色のない顔で言われても説得力がない。それに遠いならなおさらひとりで返せないだろう?」
厳しい顔で部長に問われ、「はい」と小声で返事をする。
助手席側の後部座席のドアを開けたら、北條さんが眉間にシワを寄せながら突っ込んだ。
「なぜ、助手席に座らない?」
「え?あの……助手席に座ったら彼女さんが嫌がるかなって」
私……何かおかしな行動した?
恐る恐るそんな理由を口にする私に向かって彼はクスッと笑う。
「変な心配するな。今彼女はいないから」
彼の言ったことが信じられなかった。
「いないんですか?北條さんなら五、六人くらいいそうなのに」
私の発言に北條さんは一瞬目をパチクリさせた。
「お前の中で俺はそんなイメージなんだな。そんだけ女がいたら、彼女とは言えないだろ」
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