極上御曹司に初めてを捧ぐ~今夜も君を手放せない~
「……はい」
茫然としてしまってそれしか言葉が出なかった。
「部屋は荒らされてないけど、警察が来るまでこのままにしておこう」
北條さんはスマホを取り出して、警察に連絡する。
十分ほどで警察がやってきていろいろ聞かれるが、頭が混乱していて上手く答えられなかった。
「数日前も……鍵が開いていたかもしれないです」
私の話を聞いて警察の人は「鍵を変えた方がいいですよ。ただの空き巣ではないかもしれないので、しばらくはご家族と暮らした方がいいですね」と私にアドバイスする。
犯人は逃走中。
兄はイギリスに行ってしまって頼れる人はいない。
それに犯人は私のことを知っているかもしれないけれど、私は犯人の顔すら見ていないのだ。
そう考えるとブルッと身体が震え、この部屋に入るのも怖くなった。
物を盗むんじゃなくて、私の部屋で寛いでいた。
怖いし……気持ち悪い。
空き巣は私の持ち物全てに触れたかもしれない。
しばらくすると、北條さんが呼んだのか鍵屋も来て鍵を交換してくれた。
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