極上御曹司に初めてを捧ぐ～今夜も君を手放せない～

ずっと放心していた私に北條さんが優しく声をかける。
「梨乃、貴重品と数日分の着替え用意して」
言われるまま機械的に動いてスーツケースに荷物を詰め込んだら、彼がそれを私の手から奪って、私の手を掴んだ。
「行くぞ」
何も考えずにまた北條さんの車に乗り込む。
頭の中は真っ白。
彼が何か言っても全然頭に入って来なかった。
気づけば知らない高級マンションに着いて、北條さんに「降りるぞ」と声をかけられてもすぐに反応出来なかった。
痺れを切らした彼が助手席のドアを開けて私を車から降ろす。
「ほら、しっかりしろ」
そのままエレベーターに乗って最上階へ。
北條さんが慣れた手つきで部屋のドアを開ける。
恐らくここが彼の家なのだろう。
私……気が動転してて何も考えずについてきてしまった。
「さあ、入って」
トンと背中を押されても、動かなかった。
「あの……お邪魔するのは申し訳ないので、どこかホテルに泊まります。今日はいろいろご迷惑おかけして……！」