【短編】俺達の事情
俺はソッコーで保健室に向かった。


すると、俺より早く保健室にいた野郎共と、あの女がいた。
てか、野郎の中になんで敬之と優がまじってんだよ!


「先生、いくつなの?」


と、デレデレの敬之。


「せ、先生…、腹が痛い…」


と、本気で体調悪そうな優。


お前はケーキの食いすぎだろ!!


「えー? いくつに見えるー?」


なんて、笑って答えるあの女。
女は俺の存在に気づいた。


「大貴くんじゃなーい、やっぱこの学校だったのね! 会えて良かった!!」


と、言って俺に抱きつく女。
俺は顔を真っ赤にしながら女を自分の体から引き剥がした。


「なんだよー、大貴。 雪乃先生と知り合いか?」


と、敬之がうらやましそうにみてくる。


「…昨日話した女だよ」


他に男子生徒がいるので、詳しくは言えなかったが、こう言っておけば分かるだろう。


「どええええええええ!?」


敬之は目ん玉が出そうなくらいに驚いていて、優はトイレ…と呟いて保健室を出ていった。


「やだー、大貴くんったら、私の何を話したの?」


「ありのまんまだよ」


「やだー、恥ずかしいー」


と言って顔を隠して体をクネクネさせる。


「うるせえ!! 俺は怒ってんだぞ!」


そう言うと、女は体を強張らせた。
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