【短編】俺達の事情
「ごめんなさい…」


と、申し訳なさそうに素直に謝ってきた。


…あ、謝ったからって許せるわけねーけど!


敬之を除いて、他の男子たちは保健室を出て行った。


なんかお取り込み中?とでも思ったのだろうか。


…まあ、その通りなんだが。


それと同時に、優がトイレから帰ってきて、保健室のベッドにダイブした。


「もしかして…好きじゃなかった?」


「なにが?」


「あの部屋」


「はあ!?」


なんの話してんだよ!と一瞬固まった。


「ごめんね…私の好みで決めちゃって…可愛かったからあの部屋にしたんだけど…」


「いや、そうじゃないんですけど…」


「それとも、私の家がよかった? でも…それはちょっとできなくて」


「ちーーーーがーーうううーーーーー」


俺は地団駄を踏みながら言った。


「アンタが、俺の童貞を奪った事に怒ってんの!」


「へ?」


女はキョトンとして、しばらく考え事をしたあと、ニコリと笑った。


「だって、大貴くん可愛いんだもん。 食べちゃいたいくらい☆」


「ひいいいいいいーーーーー、きーーーもーーーーいーーー」


俺は敬之の後ろに隠れた。


「きもいって…失礼ねー」


女はプンプンと怒って、それを敬之がなだめる。
< 7 / 12 >

この作品をシェア

pagetop