千歌夏様‥あなたにだけです。〜専属執事のタロくん〜
千歌夏様…アイツが好きなのですね?
千歌夏様…あいつが好きなのですね?
そう思った時…頭に血が駆け上り、体に電流が走りぬけるような感覚…そして体が勝手に動き出す。

ガシ…

「きゃっ…っ!」

ドンっ。

「…タ…タロくんっっ。」

執事失格だ…いや…そんなもんじゃない。
なぜなら、俺は今…
千歌夏様の腕を掴み、壁に押し付けている。
鼻先を掠めるくらいの距離…
千歌夏様の美しい顔がみるみる歪んでいく。

「…何…どうしたの?」

こんな無礼な俺の行動の意図を必死に読み取ろうとしてくれる優しい人…。天使のように汚れがなく美しい…。
だめだ…っ。俺の欲望をぶつけてはいけない。
だが…止められない。
俺は今から罪を犯す。それも弩級の罪…。
けして許されない罪…。

「…タロ…くん?」

彼女の口から俺の名がこぼれた瞬間…

「…んっっっっ」

彼女の口を勢いよく塞ぐ。
そして一気に俺を注ぎ込む。一生懸命口を塞ごうとする彼女の口を開かせ何度も何度も味わうようにむさぼった。
彼女の息が荒くなっていく…。目と目が合う。
彼女は、驚きを隠せないという表情で俺の顔を見ている。
そして、華奢な腕に力を入れ逃れようともがいていた。それでも、俺は力を弱めようとせず続けた。彼女が力尽きやがて、何の抵抗もしなくなるまで…。
何度も何度も…
彼女の唇を奪い続けた。
柔らかい唇…ずっと、この花に触れたくて仕方がなかった。大切な宝物…壊してはいけない。
ずっとずっと…守りたいと思って…

「ハァハァ…タ…ロ…くん…助…けて」
荒くなってた息遣いで俺の名前を呼んだ…
悲しいくらいか細い声…

ハッッ………………………………!!

ガタンッ!!

何を…

後ろにのけ反るように彼女から離れた。

「あ、あ…千歌夏様っ、申し訳ございませ…」

そう言おうとして、凍りつく…。
お嬢様の目から大粒の涙が流れ落ちた。
そしてその表情には、恐怖心が貼り付いていた。
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