冷徹旦那様との懐妊事情~御曹司は最愛妻への情欲を我慢できない~
(亜貴さんは気を遣ってくれたんだろうけど、逆効果だよね)

さすがにこの場で文句を言い出したりはしないだろうが、気まずい。

目を合わせないように食事をしていると、愛理がしびれを切らしたように大きな声を出した。

「和泉さん!」

彼女の声は高く通るので、テーブルに着く皆の視線が集中した。

それでも愛理は気にした様子もない。和泉は穏やかに応える。

「どうしました?」

「あの、最近青山に出来たギリシャ料理のお店って和泉さんの会社のものなんですよね?」

和泉は一瞬の間を置いてから微笑んだ。

「その店舗がどうしんたですか?」

「私のお友達が早速行ったそうなんですけど、とても良かったと言っていたんです」

「それは良かった」

「はい。それで私も行ってみたいと思って」

「良かったら招待しますよ。ご友人も」

「あ……はい、ありがとうございます。でも私は和泉さんと……」

奈月は半ば呆れながらふたりのやり取りを眺めていた。

他の人の目もあるというのに、愛理はあからさまに和泉を誘っている。誰が見ても彼への好意を感じるだろう。

和泉は確実にそれに気付いているだろうに平然としている。
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