冷徹旦那様との懐妊事情~御曹司は最愛妻への情欲を我慢できない~
穏やかな口調でありながら、付け入る隙を見せない。愛理が焦った様子で詰め寄っても流してしまう。

(和泉は愛理には優しいし紳士的だけど、全然相手にしていないみたい)

目の前で仲良くされるのは嫌だけど、あまりにつれなくしていたら叔父たちが怒り初めないかと心配だ。

今のところは黙っているけれど、和倉家の人たちはヒステリックなところがあるから。

奈月は落ち着かない気持ちのまま、はす向かいに座る高梨夫婦に目を向けた。

揃って白髪の老夫婦は上品な所作で食事をしながら、亜貴と会話をしている。

(あとで話す機会を作れたらいいけど)

誰からも注目されていないのをいいことにあれこれ考えている奈月に、不意に叔母が話しかけて来た。

「奈月さん随分お腹が大きくなったわね」

「あ、はい」

叔母から声がかかるとは思っていなかったから驚いた。

「予定日はいつだったかしら?」

「四月十日です」

「そう、まだ先なのね。元気そうだけど健康を過信しないようにね」

叔母は口では気遣っているけれど、目は笑っていない。

まだ奈月に対する怒りは解けていないようだった。

「ありがとうございます」
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