冷徹旦那様との懐妊事情~御曹司は最愛妻への情欲を我慢できない~
叔父は奈月に冷ややかな目を向けているものの、何か言って来ることはなかった。

不穏な気配が流れる中、コース料理は終わりリビングで食後のコーヒーを飲みながら寛ぐことになった。

広々としたリビングのソファーに適当に腰を下ろす。

もちろん愛理は和泉の隣の席をキープしていた。馴れ馴れしく身を寄せ楽しそうに話しかけている。

(……嫌だな)

和泉が彼女の好意に応える気がないのは態度で分るが、それでも気分はよくない。

愛理の手がソファーに座る和泉の足に触れているのを目にすると、苛立ちがこみ上げた。

和泉に近付かないでと愛理に言いたい。でも自分がそんな立場にないことは身に染みて分かっている。

奈月は無理やり視線を引きはがし、和泉絶たちとは離れたところにいる高梨夫婦の元に行き声をかけた。

「コーヒーをお持ちしました。良かったらどうぞ」

二人の前のローテーブルにそっと置く。コーヒーカップは夜空の輝きを現したような有田焼のものだ。

「まあ、ありがとう。素敵なカップね」

高梨夫婦の夫人の方が笑顔を浮かべた。奈月はほっとしながら二人の近くの椅子に腰を下ろす。

「深い藍色の輝きが素晴らしいですよね」
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