冷徹旦那様との懐妊事情~御曹司は最愛妻への情欲を我慢できない~
「和泉さんがお見合い相手だと聞いて本当に嬉しかったんです。それなのに奈月が邪魔をして。和泉さんだって本当は嫌だったんで……」
近付いて気付いたけれどふたりはかなり際どい会話をしていたようだった。しかも愛理は和泉に身をよせていて距離が近い。
(これから親戚付き合いをしていく人に、こんな態度を取るなんて)
「お話し中ごめんなさい」
奈月が声をかけると、愛理は驚いたように肩をゆらし奈月を見た。
「奈月……いきなり何? 今、和泉さんと話しているんだけど」
「ごめんなさい。でも愛理はずっと和泉とばかり話してるでしょう? 亜貴さんにもしっかり挨拶した方がいいわ」
愛理は和泉に夢中で他の人とはろくに会話をしていない。本人も自覚があるのか一瞬言葉に詰まった。
「奈月に言われなくても分かってるわよ」
「それならよかった」
にこりと微笑んでから今度は和泉に話しかける。
「和泉。私は一旦部屋に戻ります。愛理たちが帰るときにまた来ますから」
「気分が悪いのか?」
「いいえ。でもときどき休憩するようにと先生に言われているので」
和泉は頷くと同時に立ち上がる。
「部屋まで送る」
「え? 待って!」
不服そうに会話を聞いていた愛理が慌てた様子で席を立つ。