冷徹旦那様との懐妊事情~御曹司は最愛妻への情欲を我慢できない~
そして奈月もその通りだと共感したのだ。

和泉にネガティブな反応をされたら落ち込むだろうけれど、怖がっていては駄目だ。

勇気を出そうと小さく息を吸う。

「和泉、私は……あっ!」

「どうした?」

高い声を出した奈月に、和泉が眉をひそめる。

奈月は膨らんだ腹部をじっと見おろした。

「今、お腹を蹴られたの。ぽこんってかなり強く」

少し前から胎動を感じるようになっていたけれど、ここまではっきりと実感したのは初めてだ。

「蹴られたって……お腹の子供にか?」

和泉はやや戸惑いながら奈月のお腹に視線を向けている。

「そう。元気に育っている証拠だよ。こうやって赤ちゃんが動いているのが分ると安心するの」

「……そうか」

和泉は何とも言えない表情だ。彼が今何を思っているのか分からない。だけど奈月は赤ちゃんに励まされたように感じ先程より迷いなく口を開いた。
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