冷徹旦那様との懐妊事情~御曹司は最愛妻への情欲を我慢できない~
そんなある日、珍しく家族揃った夕食の席で父親から思いがけないことを告げられた。
『お前に縁談が来ている。相手は和倉家の令嬢だ』
司波家の当主であり、司波商事の会長でもある父はとても冷淡な性格だ。他人にあまり興味がなく、それは家族に対しても言えることだった。
和倉家令嬢との縁談については、司波家にとってそれなりのメリットがあると考えたのだろう。
つまり父の中では既に決定事項で和泉に意思確認をしているのではないはずだ。
しかしよりにもよって和倉家との縁談。
動揺のあまり手にしていたナイフを落とし、食器と当たる嫌な音がダイニングに響いた。
和泉の正面に座る亜貴が、反射的に顔をしかめる。父が探るような目で和泉を見すえた。
『どうした? 随分驚いているようだが』
『いえ……ただ急な話だったので』
『先方からの打診は大分前から来ていた。和倉家は先代からの付き合いだがら問題はないはずだが、少し気になることが有ってな、調べていたんだ』
『気になるところ? それはなんですか?』