冷徹旦那様との懐妊事情~御曹司は最愛妻への情欲を我慢できない~
奈月が受け入れるかどうかは分からないが、それでも辛さを怒りにかえて誤魔化すよりは後悔がないだろう。

自分の意思がはっきりすると、和泉はエンジンをかけ帰路についた。

自宅に戻ったらまずは奈月に先ほどの言葉は本心ではなかったと謝ろうと決心して。

久しぶりに前向きな気持ちになっていた。ようやく負の感情から抜け出せたようだ。

しかし、奈月の部屋を訪れ彼女に謝罪をしようとしたとき、思いがけない事態が起きた。

奈月の顔から血の気が引いて行き、あっという間に意識を失い倒れてしまったのだ。

「奈月!」

慌てて呼びかけてもぴくりともしない。

とにかくベッドに運び、かかりつけの医師に往診を頼んだ。

奈月の意識は以前として戻らなかったが、医師の診断では貧血を起こしたのではないかとのことだったので、詳しい診察は目覚めるまで待つこととなった。

重い病気ではないと分かりほっとしたが、付き合っている頃の奈月は健康そのものだったので、なぜ貧血を起こしたのか気がかりだった。

(別れてから楽しく暮らしていたと思っていたが、実は違かったのか?)

もし何か悩んでいるのなら事情を聞き助けになりたい。
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