冷徹旦那様との懐妊事情~御曹司は最愛妻への情欲を我慢できない~
その場は当たり障りのない対応をして治めたが、和泉を不快にさせるには十分な威力のある内容だった。

奈月のお腹の子の父親は和泉ではなく、その新しい恋人という可能性が十分にある。

まだ本人に何も聞けていないからどのような付き合いだったのか分からない。ただプロポーズまでした和泉を振って付き合ったのだとしたら、かなり盛り上がっていたと想像出来る。普通の男なら手を出さずにはいられないだろう。

頭が混乱していた。

(どうすればいい?)

そもそも奈月は妊娠に少しも気付いていないのだろうか。

(そんなことがあるわけがない)

現に先ほど倒れたばかりだ。体の変化だって大きいはずだ。

そうなると信じ難いが知っていた上で黙って司波家にやって来たということになる。

(奈月が……まさか)

動揺が収まらないまま奈月の部屋に向かう。

彼女には端的に事実を告げた。

「妊娠しているそうだな」

少し固い声が出てしまったため奈月がびくりと体を震わせる。

しかし言葉の意味が脳に浸透したのか、驚愕の表情に変わっていった。

「気付いていなかったのか?」

驚き問うと、奈月は小さく頷く。

「気付かなくて……今でも信じられない」
< 183 / 226 >

この作品をシェア

pagetop