冷徹旦那様との懐妊事情~御曹司は最愛妻への情欲を我慢できない~
奈月はこみ上げる怒りをなんとか堪えた。

愛理の訴えは身勝手で酷いけれど、むきになって反論しては駄目だ。余計にこじれて騒ぎが大きくなる。

(それにお父さんたちは意味のない意地悪なんてしない。きっと何か事情があったはず)

そう心を静めて、愛理の側から離れようとした。

「愛理、私用があるから失礼するわ。和泉が戻ったら愛理が来たと伝えておくから」

冷静に言えたと思う。けれど愛理は不服だったのか奈月の前に立ちふさがった。

「ねえ、奈月の両親がどうして事故に遭ったか知ってる?」

「ハンドル操作を誤ったからだと。見通しが悪かったようだし……どうしてそんなことを聞くの?」

ドキンドキンと心臓が鳴り響く。まるでこれから悪いことが起きると察し警戒しているかのようだった。

愛理はにやりと口角を上げる。

「それだけじゃないわ。すごく疲れていて体調が悪かったのに無理やり帰ったんですって。娘を残して来たからどうしても帰らなくちゃいけないって。お父さんが言ってたわよ、事故は奈月のせいだって」

ぞくりと足元から寒気が昇って来る気がした。

(……私のせいで? うそ……)
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