冷徹旦那様との懐妊事情~御曹司は最愛妻への情欲を我慢できない~
考え込みそうになったが、叔父のきつい声が邪魔をする。

「そうだ。正義感ばかりが強くて家族への同情心が一切なかった。自分達が一番賢く正しいと信じ、他人の弱さを認めなかった。俺はそんなお前の両親の存在が目障りで我慢ならなかった」

「目障りって……」

「俺は昔から兄を憎んでいたんだ。当然その娘のお前も不快な存在だ」

強い憎悪を感じ、奈月は思わず後ずさった。

(兄弟なのにこんなに憎んでいるなんて。お父さんとの間に何があったの?)

根拠はないけれど嫌な予感がする。これ以上この場に居てはいけないと本能で感じるような暗い負の気配が部屋の中に充満しているようだった。

奈月は帰って来て絨毯の上に放置したままのバッグに目を向けた。とにかくこの場から逃げ出したいと思った。後のことはそれから考える。

バッグのストラップに手を伸ばそうとしたそのとき、叔父が低い声で唸るように告げた。

「従わないならこちらにも考えがある」

奈月は目を見開いた。
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