冷徹旦那様との懐妊事情~御曹司は最愛妻への情欲を我慢できない~
(そんな!まさか広川堂のみんなに何かする気なの?)
広川堂は和倉百貨店内に店舗を持っているが、継続して出店出来るかは百貨店サイドが判断するので、売上が悪い店舗は場所の変更や撤退もある。
広川堂の売上は悪くはないけれど、百貨店側が是非出店して欲しいと頭を下げるような客ではないはず。
だとしたら嫌がらせで追い出す可能性もゼロではない。契約期間が終了したら継続しなければいいのだから問題なく出来るだろう。頭の中を同僚たちの顔がぐるぐると回る。
(どうしよう……みんなに迷惑をかけたくない)
和泉と別れるなんて絶対に嫌だ。それでも叔父の脅しは奈月にとって恐怖でしかなく決意が揺らぐ。
不意に叔父が笑い声を上げた。
「お、叔父様?」
「結局お前は従うしかないんだから、諦めろ」
その言葉で気が付いた。彼が笑っているのは奈月を馬鹿にしているからだ。
悔しいけれど、叔父の威圧感に恐怖を覚え反論出来ない。首を横に振るのでせいいっぱいだった。
「強情だな。俺に従わないなら司波和泉が傷つくことになるがそれでもいいのか?」
「……え?」
予想もしていなかった言葉に、奈月は唖然とした。