冷徹旦那様との懐妊事情~御曹司は最愛妻への情欲を我慢できない~
愛理が面白そうに言う。

もう誰も奈月を見ていなかった。

奈月はふらふらとリビングを出て、自室に戻った。精神的に疲れ果てベッドにどさりと倒れ込む。

(和泉と愛理が……)

ショックで胸がズキズキと疼く。

いつかふたりが結婚するかもしれないと覚悟はしていたけれど、こんなに早く話がまとまるなんて。

予想よりも早い展開を知り、心は千々に乱れてしまう。

今の環境のままふたりが結婚したら、嫌でも夫婦になったふたりを見ることになる。

(そんなの無理)

きっと自分は耐えられない。早々に家を出て、偶然にもふたりと会わずに済む生活圏が重ならないところに行かなくては。

ただ話合いで円満に家を出るのは不可能になった。

叔父は奈月の結婚についても考えていると言っていたから。

きっと和倉家にとって都合の良い相手が選ばれる。人柄なんて一切考慮はない。

彼らにとって結婚後に奈月がどうなろうが関係がないのだから。むしろ不幸になるのを期待していそうだ。

(無理やり出て行くしかない)

ただそうなると広川堂ではもう働けない。

大学を卒業して自活出来るようになってから今日まで家出をしなかったのは、仕事を捨てられなかったからだ。
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