冷徹旦那様との懐妊事情~御曹司は最愛妻への情欲を我慢できない~
恐らく自分は間違えたのだ。

どこでかは分からない。だけどもう戻れない過去に選択を誤った。

今の辛い状況はその結果なのだ。


重い足を引き摺るような気持ちで帰宅した。

予想される攻撃に心を抉られないようにと自分に言い聞かせる。

誰もいない玄関から自室に向かおうとすると、激しく扉を開く音がし直後叔父家族が飛び出して来た。

驚き固まる奈月に、叔父が鬼の形相で怒鳴る。

「お前、裏切ったな!」

先日の上機嫌と真逆の不機嫌さ。いや不機嫌なんてものではない、憎悪の目で奈月を睨んでいる。

(いったい何が有ったの?)

和泉との見合いが上手くいかなかったのだろうか。

(でも裏切り者って)

話が見えず困惑する。叔父夫婦は奈月が家に上がるのを遮るように仁王立ちし、威圧感を与えて来る。

「あの……今日何か有ったのですか?」

恐る恐る尋ねた途端、愛理のヒステリックな声が返って来た。

「和泉さんに断られたのよ! 奈月が彼に何か言ったんでしょう?」

「え……」

それは司波家と言うより和泉自身が愛理との結婚を拒否したということだろうか。

(政略結婚でも私の従妹は受け入れられなかったのかな?)
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