冷徹旦那様との懐妊事情~御曹司は最愛妻への情欲を我慢できない~
混乱していると苛立たし気な舌打ちが聞こえて来た。

「信じられないことだが司波家の当主から和泉の結婚相手は奈月しか認めないと条件を付けて来た。もちろん抗議したが受け入れられなかった」

「司波家当主の……」

広川堂で見かけた気難しそうな老人の姿が頭に浮かんだ。厳しく他人を寄せ付けない雰囲気で、社長も気を張って対応していた。

奈月とは一度も接触がないから仕事ぶりを見て選んでくれた可能性はない。

(それならどうして?)

政略結婚なら叔父に大切にされている愛理の方が適任のはずなのに。

いったい何が起こっているのだろう。

(和泉は反対していないの?)

彼は身勝手な理由で裏切り別れた奈月に対して強い怒りを覚えているはずなのに。

「こうなった以上、拒否はできない。こちらから申し出た話を断ったら司波家との関係が悪化する。奈月では駄目だと主張出来る根拠もない。奈月、お前が司波家に行くしかない」

身勝手な叔父の発言に、唖然とした。

「そんな……無理です! 和泉と別れろと言ったのは叔父様なのに今度は急に司波家に行けなんて、今更どんな顔をして彼と顔を合わせろって言うんですか?」
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